ツーリングでの自由な移動や、スムーズな長距離移動ができるバイクの高速道路走行。初心者ライダーにとっては特別な体験ですが、高速道路には一般道とは異なるルールや注意点が多くあります。本記事では、高速道路を走るための基本条件や、走行中に押さえるべき安全ポイントについて解説します。
高速道路を走るための条件
排気量による規制
バイクで高速道路を走行するためには、バイクの排気量が126cc以上である必要があります。125cc以下の「原付バイク」(いわゆるスクーターや小型バイク)は、道路交通法により高速道路への進入が禁じられています。これは、125cc以下のバイクは高速道路の速度や交通量に対する性能が不十分であると見なされているためです。
必要な免許区分
高速道路を走るには、免許区分も重要です。例えば、126cc以上のバイクで走行するには「普通自動二輪免許(中型バイク)」が、さらに大型バイクの場合は「大型自動二輪免許」が必要です。この免許区分は取得する際の教習内容に基づいて定められていますので、高速道路の利用前に自分の免許で走行可能かを確認しましょう。
タンデム(二人乗り)の条件
二人乗りで高速道路を利用する際には、運転者の年齢が20歳以上であり、なおかつ二輪免許を取得してから3年以上の経過が求められます。この条件は二人乗り走行のリスクを減らすために設けられていますので、初心者ライダーの方は特にご注意ください。また、首都高速道路など一部の高速道路では二人乗りが禁止されています。
高速道路走行で押さえておきたい安全のポイント
1. 事前のメンテナンスは必須
高速道路では走行速度が上がり、バイクにかかる負担も増します。特にタイヤやブレーキのメンテナンスが重要で、タイヤの空気圧やブレーキパッドの摩耗、チェーンの張り具合などを事前に点検するようにしましょう。高速走行中のトラブルは大事故につながる危険もあるため、走行前の点検を怠らないことが基本です。
2. 服装に注意して安全を確保
高速道路での走行には、専用のライディングウェアやプロテクターの装着を強くおすすめします。特に、プロテクター付きのジャケットや、しっかりしたくるぶしが隠れるブーツは万が一の際に大切な防具となります。また、高速走行時の風圧による疲労を防ぐためにも、身体にフィットする服装が良いでしょう。ヘルメットは安全性の高いフルフェイスを選び、あご紐を確実に締めることも重要です。
3. 横風や大型車両の風圧に注意
高速道路では横風や、大型車両が巻き起こす風圧にさらされることが多く、特に軽量なバイクは横風の影響を受けやすくなります。風速5m/s以上の横風が予測される場合、バイクが不安定になりやすくなりますので、安全が確保できないと感じた場合は速度を落とし、状況に応じて一般道に迂回するのも手です。
4. 車間距離を十分に確保する
高速道路では制動距離が長くなるため、車間距離をしっかりと確保する必要があります。100km/hで走行する場合、前の車との車間距離は100メートル以上取ることが推奨されています。車間距離を十分に取ることで、万が一の際に安全に停止できるだけでなく、飛び石や風の影響も軽減できます。
5. ETCの導入で快適さを向上
ETC(Electronic Toll Collection System)を装備すると、料金所で停まる必要がなくなりスムーズな走行が可能です。近年ではETC専用のインターチェンジも増えており、ETC装着により通行可能なルートが増えるため、ツーリングや旅行のルート選択の幅も広がります。ETC割引も適用されるなど、メリットが多いため、高速道路を頻繁に利用する場合は導入を検討してみましょう。
安全運転のための実践ポイント
6. 無理な速度超過を避ける
高速道路では流れに乗って走行することが重要ですが、流れに合わせすぎると速度超過になってしまうことがあります。高速道路の速度制限は通常100km/hですが、場所によって80km/hに制限されている区間や、新東名高速道路などの一部区間では120km/h制限が導入されています。規制標識や表示板を確認し、速度を守るようにしましょう。
7. こまめな休憩で疲労を防ぐ
高速道路を走ると、走行風や緊張感から予想以上に体力を消耗します。長距離を一気に走ろうとせず、1時間または100kmごとに休憩を取ることが安全運転のポイントです。休憩中に、首や肩、腰をストレッチすると、疲労を和らげる効果があります。
8. 悪天候時には慎重な操作を
雨天や強風などの悪天候時には、アクセルやブレーキ操作を特に慎重に行いましょう。雨天では道路が滑りやすくなり、通常よりも制動距離が長くなります。また、横風の影響も増すため、路面状況に合わせた速度調整や、前車との車間距離の確保を忘れずに行いましょう。霧や雪の影響がある場合も同様に注意が必要です。
9. 渋滞中も路側帯は走らない
渋滞時に左側の路側帯を走行するのは、法律で禁じられています。路側帯は緊急車両や故障車が停車するためのスペースであり、無理な通行は違反に加えて危険行為です。高速道路は通行帯を守ることで安全が保たれますので、焦らず順番を守りましょう。
初めての高速道路走行は安全第一で
高速道路は遠くの目的地まで早くたどり着ける便利な移動手段ですが、無理をせず、安全第一で走行することが基本です。もし初めての高速道路走行に不安を感じる場合は、経験豊富なライダーと一緒に走行するのも良い方法です。先輩ライダーからの助言を受けつつ、少しずつ慣れていきましょう。
慣れてくれば、高速道路でのバイクライフがさらに充実したものになるはずです。これからもバイクと一緒に安全で楽しいツーリングを満喫しましょう!”